放送内容/番外!ちょっと暇だし!これは二十回目にはカウントされないからね!
吾輩は犬である。名前は桃色。大好きな母上様がつけてくれた名だ。
勤労感謝の日…私は初めて目の当たりにする。絶叫怪談にがらじ…。
今思えば静かに階下で眠っていれば良かったと後悔しているが、済んだ話だ。
dany-nommyという集まりは待っているらしかった。
20回という記念日を祝う為…生歌の為に。
この日もおばちゃんは放送開始ボタンを押す。
「番外」と冠したスレッドを立て、dany-nommy達に肩透かし食らわせたようだ。
父上は芝刈りに、母上様は川へ洗濯を
妹はリア充へ変貌の兆しを見せ、私は階下で空腹にのたうち廻っていた。
空腹に耐えられず、踊り場から少し開いたドアを覗く。
おばちゃんはマイクへと向かい
「可愛くて☆歌もうまくて☆身長と体重はモデル並☆」
チュロス(チョコ味)を片手にピカピカと光る箱にブツブツと呟いている。
チュロスがどんな味なのかさえ私には分からないがサンドワームという食べ物があるそうだ。
美味しいものならば、どちらも食べてみたいと思う。
ここの所、日々あのピカピカと光る箱へのブツブツが終わらないと私に食べ物を与えてくれない。
仕方がないので、私はここで待つ事にした。
人の言葉は聞き取り辛い。「かわいいニート☆」とおばちゃんは興奮していた。
よく分からないが、ニートは人間社会で言う所の最底辺と聞いた事がある。
このおばちゃんは私のアルファーには相応しくない。
また何か聞こえた「うんこ踏めはチャームポイント」
そういえば、以前…私の排泄物を片付けている際におばちゃんは踏みしめていた。
私に非はないと思うのだが、おばちゃんは物を投げつけるクセがある。
その靴下は部屋に脱ぎ散らかされたままにされていたので
散歩中に草むらの中に置いてきたのはここだけの秘密だ。
「はんざいをおかしたつみびとたちのけいむしょでわたしがかんしゅ」
これはどうやら彼女の職業の話のようだ。
自室に閉じこもり、ピカピカと光る箱につぶやき続けるのが「かんしゅ」というものなのだろうか?
人間社会は理解に苦しむ構造になっているらしい。
「白いの…金縛り…見舞い…」
そう聞き取った矢先、おばちゃんは悲鳴を上げた。
私は力の限り吠えた。しかしおばちゃんの悲鳴は止まらず。
次第に嗚咽へと変わっていった。
以前にもおばちゃんには聞こえないらしい「こうしゅうは」を聞いて
私が吠えた時にもおばちゃんはブルブルと震えていたが
泣いてしまうほどの職業とは、やはり「かんしゅ」というものも大変らしい。
数秒間だけ「ここのか」という愛らしい声が聞こえた気がするのだが気のせいかもしれない。
「かんしゅ」の仕事を終えたおばちゃんは私にツナ缶をくれた。第19.5回